「基督教と歎異抄」の賀川豊彦序文

私は、キリスト教と浄土真宗の類似点に興味を深く持ちます。
また、賀川豊彦というキリスト者を研究しています。

最近、その賀川豊彦が、友人である鑓田研一氏による「基督教と歎異抄」という本に序文を書いていることを知りました。
さっそく古本を注文し、届いてみると、個人的に大変面白い短文でしたので、なかなか手に入れるのは難しいことですし、せっかくなので全文引用して記録に留めます。

ネットですぐに古本が手に入るようになった現代を、とてもありがたく思います。

以下、引用。


「基督教と歎異鈔」(鑓田研一著)の賀川豊彦による序文


 内務省の統計に依ると、今年は、一週間に一つぐらいの割合で新宗教が製造されたという。
 唯物論や暴力主義が一世を風靡した後に、どこからともなく宗教復興の声が起こって、それが時代の流行となってしまうのは、歴史的公式の一つである。我々の立場から見て、喜ばしい事には違いないが、どうも、昨今の風潮は、少し常軌を逸していると思う。
 理智にも情操にも富んだ、真に健全な人々は、迷信的なものを厭がるが、そういう人々の気持ちにぴったり合うのは、基督教を除けば仏教である。そして、仏教諸派の中で一番基督教に近いのは、やはり、親鸞の起こした浄土真宗である。
 真宗のどこに力があるか? それは他力本願の信心一点張りでゆこうというところにある。
 彼等真宗の人たちは、どんな悪人でも、必ず阿弥陀によって救われると信じている。地方へ行くと、数百年来、この信仰を持っていて、彼等は、自分が餓死しても本山に寄附したいと考えている。
 これは絶対帰依の境地であって、法然、親鸞を経て完成されたものである。真宗が基督教と一致するのは、この点である。そしてこういう美しい他力宗教の極致が、親鸞の弟子唯円が先師の言葉をそのまま伝えたという歎異鈔に書かれている。そこには親鸞ならでは見られぬ剛健な気魄が溢れている。
 しかし、悲しいことには、この宗教を奉ずると称する者の中から、沢山女郎屋が出た。
 これは女郎屋その人が悪いからであろうか? それとも、そんな人が出るのは、真宗のどこかに欠陥があるからだろうか?
 私の友人鑓田研一氏は、最も厳正な立場から、歎異鈔を研究した。そしてその研究の結果が、「基督教と歎異鈔」となってあらわれたのである。
 私は、伝統的な宗教的雰囲気の中に育った関係から、歎異鈔も早くから読んで、感心するところには感心したのだが、根本的な点ではどうしても首肯できなかった。それで私は基督教に入ったのである。
 私は、基督教側の人は勿論のこと、仏教側の人にも、鑓田氏のこの書を是非読んでいただきたいと思う。

 1934年12月3日 賀川豊彦


引用ここまで。
(注:原文は旧漢字、旧仮名遣いが多いのですが、引用者によってほぼ全て新漢字・新仮名遣いに変更されています。)

これを読んでいくつか興味深く思った点を記して記事を終わります。

・賀川豊彦は、仏教諸派の中で、最もキリスト教と似ていると思うのは浄土真宗だと見ていること。
・彼はかなり若い頃から、歎異抄に触れつつ、納得がいかない点があり、キリスト教の方により納得がいって入信したこと。
・浄土真宗の信仰と、民衆の長年の深き帰依に大変驚いていること。
・女郎屋などにつながっていることに疑念を抱き、やや批判的な感が見えること(鑓田氏の本文を読めば、賀川豊彦のかねてよりの疑念も言及されているようですが、私はまだ読んでいません)。
・親鸞を剛健な気魄の人として、高く評価していること。

<了>

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